ADHDコーチングは怪しい?効果がない人・向かない人

ADHDコーチング



「ADHDコーチング 怪しい」と検索して、このページにたどり着いた方が多いと思います。

先に立場を明かしておきます。私はADHDコーチングを提供している側の人間です。
ADHD当事者でもあります。

そのうえで書きます。ADHDコーチングが怪しく見えるのには、はっきりした理由があります。
そして、効果が出ない人、そもそも向かない人も確実にいます。
向かない人にまで勧めるつもりはありません。この記事では、疑われる理由と、向かない人の特徴、
避けたほうがよいサービスの見分け方を、包み隠さず書きます。

ADHDコーチングが「怪しい」と言われる3つの理由

疑われるのは当然だと考えています。理由を3つ挙げます。

理由1:国家資格がなく、誰でも名乗れる

最も大きい理由が、資格の問題です。日本には「ADHDコーチ」の公的資格が存在しません。
医師や公認心理師のような国家資格とは違い、今日から名乗ろうと思えば、誰でも名乗れます。

海外には専門の認定制度があり、訓練時間100時間以上と実技試験を課すものもあります。
国内にも民間の認定講座はあります。ただ、それらを持っていなくてもコーチを名乗ることは可能です。

つまり、名乗りだけでは経験や技量を判断できません。疑うのが正しい態度です。

理由2:料金を公開していないサービスが多い

国内の主要なADHDコーチングサービスを実際に調べたところ、
継続料金を公式サイトで公開していないところが半数ほどありました。
問い合わせて初めて金額が分かる、という形です。

内容によって見積もりが変わる場合もあるので、料金非公開そのものを一概に悪いとは言えません。
ただ、金額が分からないまま話を聞きに行くのは、誰でも警戒します。

理由3:効果の根拠を示しにくい

薬であれば、臨床試験のデータがあります。コーチングにはそれがありません。

成人ADHDに対するコーチングの効果を扱った研究は国内外に存在しますが、
数は多くなく、「これで効果が証明された」と言い切れる段階ではないというのが、
調べた限りでの正直なところです。

ですから、「ADHDコーチングを受ければ改善します」という断定的な言い方をしているサービスがあれば、
その断定こそ、慎重に見るべきサインだと考えています。

それでもコーチングが役に立つ場面

ここまで否定的なことを書きましたが、では意味がないのかというと、そうではありません。

ADHDの困りごとの多くは、知識ではなく実行の問題です。
「タスクを分解するとよい」「リマインダーを使うとよい」といった対策は、
検索すれば無料でいくらでも出てきます。実際、当ブログにも書いています。

それでも変わらないのは、ADHDの脳が、実行機能の働きの偏りによって、
ひとりで新しい習慣を立ち上げて維持することが難しいから
です。

コーチングが担っているのは、情報の提供ではありません。

コーチングが実際にやっていること

  • 一般論の対策を、その人の職場・住まい・体調・忙しさに合う形まで削る
  • 実行してみた結果を一緒に確認し、合わなければ形を変える
  • 止まったときに、止まったまま数ヶ月放置されないようにする

要するに「調整」と「継続の確認」です。特別な魔法があるわけではありません。

この2つに価値を感じない方には、コーチングは不要だと思います。

効果が出ない人・向かない人の特徴

ここがこの記事の本題です。実際に、コーチングが合わない状況があります。6つ挙げます。

1. 診断や治療を求めている

コーチングは医療行為ではありません。診断もできませんし、薬の判断もできません。
「自分はADHDなのか知りたい」「薬を検討したい」という段階であれば、
まず精神科・心療内科を受診してください。コーチングはその代わりにはなりません。

2. うつなどで、今は動けない状態にある

コーチングは「これから何をするか」を扱うものです。行動を前提にしています。
気力が落ちて日常生活が立ち行かない状態のときに行動計画を立てても、実行できず、
「またできなかった」という失敗体験を増やすだけになりかねません。

その状態であれば、まず治療を優先してください。落ち着いてからで、まったく遅くありません。

3. 話を聞いてほしい、気持ちを整理したい

この段階はカウンセリングの領域です。

コーチングは前を向いて仕組みを作る方向に進むため、
つらさをじっくり受け止めてもらいたいときには、物足りなく感じることがあります。
傷つき体験の整理が先に必要な段階では、カウンセリングのほうが適しています。

4. 答えを教えてほしい、決めてほしい

コーチングは、こちらが正解を渡す形式ではありません。
本人と一緒に考えて、本人が決めるという進み方をします。

「とにかく正解を指示してほしい」という期待で来られると、
「結局こちらが考えるのか」と感じて、噛み合わないことがあります。
その場合は、具体的な手順を指示してくれる講座やサービスのほうが合います。

5. 生活が経済的に苦しい

正直に書きます。コーチングは安くありません。月額であれば2万円〜3万円程度かかるのが一般的です。

生活費を削って受けるものではないと考えています。
発達障害者支援センター、精神保健福祉センター、地域障害者職業センターは無料です。
全国に窓口がありますので、まずそちらを使ってください。

6. 変化に必要な期間を、極端に短く見積もっている

1回受ければ生活が変わる、というものではありません。
小さな変化は初回から出ることもありますが、
生活として定着するには、月2回で3ヶ月程度は見ておく必要があります。

「1回で人生が変わる」と謳っているサービスがあれば、その表現を疑ってください。

逆に、向いている状況

以下に当てはまるなら、検討する価値はあると思います。

  • 対策はもう十分に調べた。知識は足りている
  • やってみるが、数日で元に戻ってしまう
  • ひとりだと、続いているかどうかも分からなくなる
  • 日常生活は送れている。ただ、うまく回っていない
  • 誰かに定期的に確認してもらえれば動ける自覚がある
  • 費用を無理なく出せる範囲にある

逆に言えば、この条件に当てはまらない方には、私は勧めません。

実際にトラブルになりやすいパターン

コーチング全般で、消費者トラブルとして起きやすいパターンがあります。
ADHDコーチングを選ぶ際も、同じ点に注意してください。

コーチング契約で起きやすいトラブルと、その回避策
トラブル どんなことが起きるか 回避策
高額・長期の一括契約 相性が分からないうちに、半年〜1年分を前払いで契約させられる まず単発や短期で試す。長期契約を最初から求める相手は避ける
解約・返金の拒否 途中でやめたいのに、返金されない・解約に応じてもらえない 契約前に、解約条件と返金規定を書面で確認する
効果の誇大表示 「必ず改善する」と言われて契約したが、実態と違った 断定的な効果表現をするサービスは、その時点で疑う
販売者情報の欠如 トラブル時に、誰に連絡すればよいか分からない 特定商取引法に基づく表記があるか確認する

※契約トラブルに遭った場合は、消費生活センター(電話番号188)に相談できます。

避けたほうがよいサービスの見分け方

実際にサービスを選ぶ際の判断材料を挙げます。次のいずれかに当てはまるところは、慎重に見てください。

  • 「治る」「完治する」と書いている
    コーチングは医療行為ではありません。治療の言葉を使っている時点で不適切です
  • 効果を保証している
    「必ず改善」「100%」などの断定は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります
  • 医療との線引きを書いていない
    診断・治療・投薬の判断はできない、という但し書きが無いサービスは避けてください
  • 料金を最後まで明かさない
    問い合わせても総額が出てこない場合、その場で決断を迫られる可能性があります
  • 最初から長期・高額の契約を求める
    相性が分からない段階で半年契約を勧めてくるのは、順序が逆です
  • 特定商取引法に基づく表記がない
    有料サービスを販売するサイトには、事業者名・所在地・返金条件などの表示義務があります。これが無いサイトは購入の判断材料が欠けています
  • キャンセル・返金の条件が書かれていない
    体調に波があることを前提にしていないサービスは、ADHDの方には合いにくいと考えています
  • 「向かない人」について一切触れていない
    誰にでも効くと書いてあるものは、たいてい誰にも効きません

逆に、確認しておくとよいこと

無料相談や低額の体験があるか/診断がなくても受けられるか/
キャンセルは何日前まで無料か/セッションとセッションの間のサポートがあるか/
合わなかった場合に途中でやめられるか。
この5つを聞いて、はっきり答えられないサービスは避けたほうが無難です。

他の選択肢との違い

そもそもコーチングでなくてよい場合も多くあります。手段ごとの向き不向きを整理しておきます。

ADHDの困りごとに対する手段と、向いている状況
手段 向いている状況 費用
医療機関 診断を受けたい。薬を検討したい。二次障害の治療 保険適用
カウンセリング 話を聞いてほしい。気持ちや過去を整理したい 50分5,000円前後〜
公的支援窓口 まず誰かに相談したい。制度や支援情報がほしい 無料
就労移行支援 就職に向けて訓練を受けたい 多くの方が自己負担なし
コーチング 知識はある。日常が回る仕組みを作り、続けたい 月2〜3万円程度

※発達障害者支援センターは全国に設置されています。お住まいの自治体名とあわせて検索してみてください。

まとめ

  • ADHDコーチングが怪しく見えるのは、国家資格が無く誰でも名乗れるため。疑うのは正しい
  • 料金非公開のサービスが多いことも、警戒される要因になっている
  • 効果の研究は存在するが数が少なく、断定できる段階ではない
  • 「治る」「必ず改善」といった表現は、景品表示法や医療との線引きの観点で問題がある
  • 診断・治療を求めている場合、動けない状態にある場合、話を聞いてほしい場合は向かない
  • 経済的に無理があるなら、無料の公的窓口を先に使うべき
  • 効果保証・料金非公開・特商法表記が無いサービスは避ける

コーチングは万能ではありません。合う人と合わない人がはっきり分かれます。

この記事を読んで「自分には向かない」と判断されたなら、それでよいと思っています。
無理に受けるものではありませんし、他に適した手段があるならそちらのほうがよいのは当然です。

よくある質問

ADHDコーチングは怪しいのですか?

国家資格がなく誰でも名乗れること、料金非公開のサービスが多いこと、効果の根拠を示しにくいことから、怪しく見えるのは自然です。疑って選ぶのが正しい態度です。ただし、医療との線引きを明記し、料金を公開し、向かない人にも触れている誠実なサービスも存在します。

ADHDコーチングに効果はありますか?

成人ADHDへのコーチングの効果を扱った研究は存在しますが、数は少なく、断定できる段階ではありません。「知識はあるが実行が続かない」という人には役立ちやすい一方、診断や治療を求めている人、動けない状態にある人には向きません。

「必ず改善します」と書いているサービスは信用できますか?

慎重に見たほうがよいです。効果を保証する根拠はなく、断定的な効果表現は景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。また「治る」という表現は医療行為であるかのような誤認を与えます。

どんな人にはADHDコーチングが向きませんか?

診断や治療を求めている人、うつなどで動けない状態にある人、話を聞いてほしい人、正解を指示してほしい人、経済的に余裕がない人、短期で劇的な変化を期待している人には向きません。それぞれ医療機関・カウンセリング・公的窓口など、適した手段が別にあります。

契約でトラブルにならないか不安です。

高額・長期の一括契約、解約拒否、効果の誇大表示に注意してください。特定商取引法に基づく表記があるか、解約・返金条件が明記されているかを契約前に確認しましょう。トラブルに遭った場合は消費生活センター(電話番号188)に相談できます。

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