ADHDコーチングの60分で実際にやること|セッションの中身を全部書きます

ADHDと仕事



ADHDコーチングを検討するとき、いちばん分からないのが
「60分のセッションで実際に何をするのか」だと思います。

公式サイトを見ても、「対話を通じて解決策を見つけます」「伴走します」といった説明で終わっていることが、
ほとんどです。セッションの中身が具体的に書かれている例は、まず見当たりません。
それでは受けるかどうかを判断できないと思います。

そこでこの記事では、私が実際に行っているADHDコーチングの60分を、時間の流れに沿って公開します。
会話の例も3つ載せます。2回目以降の進み方、3ヶ月でどう変わるかまで書きます。
読んだうえで「自分には合わない」と判断していただいても構いません。

まず、ADHDコーチングでやらないこと

セッションの中身の前に、やらないことをはっきりさせておきます。
ADHDコーチングを医療やカウンセリングと混同されると、お互いに困るためです。

  • 診断はしません。ADHDかどうかを判定することはできません
  • 薬の判断はしません。服薬に関することは主治医にご相談ください
  • 心理療法は行いません。過去のつらい体験を掘り下げる場ではありません
  • 説教はしません。「もっと頑張りましょう」という励ましはしません
  • 宿題を大量に出しません。実行できない量を渡しても、失敗体験が増えるだけだからです

ADHDコーチングが扱うのは、これからの行動と、その行動が続く仕組みです。
診断・治療・心のケアは範囲の外だと考えてください。

ADHDコーチング60分の流れ

1回のセッションは、5つの工程で進みます。時間配分は目安です。

  1. 0〜5分

    近況を聞きます

    いきなり本題には入りません。この1〜2週間どうだったかを、まず聞きます。
    うまくいかなかった話から始めていただいて構いません。
    できなかったことを責めることはありません。

  2. 5〜20分

    困りごとを外に出して、並べます

    頭の中にあるものを、順番を気にせず話してもらいます。
    まとまっていなくて構いません。整理はコーチの役目です。

    話しながら、私が画面共有でメモを取り、
    「いま出てきたのはこの5つですね」と、目に見える形に並べていきます。
    ADHDの特性がある方は、頭の中だけで全体を保持することが難しいことが多いため、
    困りごとを外に出して一覧にする作業そのものに意味があります。

  3. 20〜30分

    取り組むものを、ひとつに絞ります

    並べた困りごとの中から、今回取り組むものをひとつだけ選びます。

    絞り込みの工程が、セッションで最も重要です。ADHDの対策が続かない最大の理由は、
    一度に複数を始めてしまい、ひとつ崩れた時点で全部やめてしまうことだからです。
    物足りないと感じるくらいまで絞ります。

    選ぶ基準は「いちばん困っていること」ではなく、
    「いちばん動かしやすいこと」です。小さな成功を先に作るためです。

  4. 30〜50分

    実行できる大きさまで刻みます

    刻む工程が、記事を読むこととADHDコーチングの違いが最もはっきり出るところです。

    一般的な対策を、あなたの職場・住まい・生活時間・体調に合う形になるまで削ります。
    「朝にやる」が無理なら夜に移す。「毎日」が無理なら週2回にする。
    道具が必要ならその場で一緒に設定する。そこまでやります。

    この工程でよく一緒にやること

    • スマートフォンのリマインダーを、その場で一緒に登録する
    • カレンダーアプリに、作業の予定を実際に入れてもらう
    • タスクを「5分で終わる大きさ」まで、口頭で一緒に分解する
    • 通知が多すぎて埋もれている場合は、通知設定をその場で見直す

    【要確認】
    すだっちさんが実際に使うツールや進め方に、この4項目を差し替えてください。

  5. 50〜60分

    次までにやることを、ひとつだけ決めます

    最後に、次のセッションまでに何をするかを確認します。
    やることはひとつだけです。

    そして必ず、「できなかった場合はどうするか」も先に決めておきます。
    できなかったときに連絡しづらくなって、そのまま来なくなることを防ぐためです。
    できなかった回こそ、いちばん話す価値があります。

以上が、ADHDコーチング60分の全体像です。
近況を聞き、困りごとを並べ、ひとつに絞り、実行できる大きさまで刻み、次の一手を決める。
特別な技法があるわけではありません。

会話の例1:先延ばし(資料作成が進まない)

文字で流れを説明しても伝わりにくいので、会話の形にしてみます。
以下は、実際のやり取りに近い形で再構成した例です(特定の方が判別できる内容は含みません)。

例1:資料作成にずっと着手できないケース

相談者
資料作成が、また手つかずのままで。今週も結局やれませんでした。

コーチ
その資料、始めようとしたことはありましたか。

相談者
パソコンは開きました。でも、そこから何も進まなくて。

コーチ
パソコンを開くところまでは動けているのですね。では、開いたあと最初にやることは、具体的に何になりますか。

相談者
……そこが、決まっていないかもしれません。「資料を作る」としか思っていなくて。

コーチ
おそらく原因はそこです。「資料を作る」は、ひとつの作業に見えて中身が10個くらいあります。作業が大きすぎると、脳が着手先を決められません。5分で終わることまで小さくしてみましょう。

相談者
5分ですか。……ファイルを新規作成して、見出しだけ3つ書く、とか。

コーチ
見出しを3つ書くだけなら、動けそうですか。

相談者
それだけなら、できると思います。

コーチ
では今週は、見出しを3つ書くことだけにしましょう。資料を完成させることは、今回の目標から外します。もし見出しも書けなかったら、その理由を次回一緒に見ます。書けなかったこと自体は、問題ありません。

やっていることは、これだけです。特別なことは何もありません。

ただ、「作業が大きすぎて着手できていない」ということに、ひとりだと気づけないのです。
多くの方は「やる気がないからできない」と解釈してしまい、そこで話が終わってしまいます。

会話の例2:片づけ(部屋が元に戻る)

例2:片づけても2週間で元に戻るケース

相談者
週末に一気に片づけたんですが、また元に戻ってしまって。もう疲れました。

コーチ
一気に片づけられたのですね。それは大変だったと思います。戻ってしまうのは、どのあたりから始まりますか。

相談者
だいたい、脱いだ服です。椅子に掛けて、そこから床に積み上がっていきます。

コーチ
服が起点なのですね。では、全体をきれいに保つことは一旦あきらめて、服だけに絞りましょう。脱いだ服を、椅子ではなく1か所に入れるとしたら、どこなら続きそうですか。

相談者
たたむのが面倒なので……大きいカゴを置いて、放り込むだけなら。

コーチ
たたまなくていい形にするのは、いい判断です。今週は「脱いだ服はカゴに放り込む」だけにしましょう。部屋全体は評価の対象にしません。カゴが服でいっぱいになったら成功、くらいの基準で大丈夫です。

片づけが続かない方に、「全部きれいにしましょう」とは言いません。
戻りの起点になっている一点だけを見つけて、そこの手間を極限まで減らします。
たたむ手間をなくす、といった調整です。完璧な部屋を目指すと、ADHDの特性がある方はまず続きません。

会話の例3:人間関係(つい言いすぎる)

例3:職場でつい強く言ってしまうケース

相談者
また会議で言いすぎてしまって。あとで自己嫌悪になります。

コーチ
言いすぎたと気づけているのですね。それはどの瞬間に起きやすいですか。

相談者
相手の話が回りくどいと、待てなくて、かぶせて言ってしまいます。

コーチ
待つのが苦手というのは、ADHDの衝動性ではよくあることです。性格の問題ではありません。会議中に、手元でできる「間を作る動作」を決めておくのはどうでしょう。

相談者
間を作る動作、ですか。……ペンを置いてから話す、とか?

コーチ
いい方法だと思います。「ペンを置いてから話す」を今週の実験にしましょう。うまくいかない日があっても構いません。何回できたかではなく、動作を思い出せたかを次回聞きます。

衝動性に対しては、「我慢しましょう」とは言いません。我慢は続かないからです。
代わりに、衝動と行動の間に、物理的な動作をひとつ挟みます。
ペンを置く、一度うなずく、水を飲む。意志ではなく、動作でブレーキをかけるという設計です。

2回目以降のセッションはどう進むのか

初回で「まず取り組むひとつ」を決めたあと、2回目以降は次のように進みます。

  1. 前回決めたことが、できたか・できなかったかを確認する(責める場ではありません)
  2. できた場合は、なぜできたのかを言葉にする(再現できるようにするためです)
  3. できなかった場合は、どこで詰まったかを一緒に見て、設計を変える
  4. 定着してきたら、次のひとつを足す

できなかった回こそ、最も価値があります。
「できなかった=失敗」ではなく、「できなかった=設計が生活に合っていなかった」と考えるためです。
合っていなかった点が分かれば、次はより現実的な形に変えられます。

多くの方が、この「できなかった週に休まず来る」ことで変わっていきます。
できた報告だけを聞く場ではないということが、一般的なコーチングとの大きな違いです。

3ヶ月でどう変わっていくか

1回で人生が変わるものではありません。生活として定着するまでの、おおよその流れを書きます。

月額プラン(月2回)を3ヶ月続けた場合の、一般的な変化の流れ
時期 この時期にやること 起きやすい変化
1ヶ月目 いちばん動かしやすい困りごとを、ひとつだけ形にする 「小さくすれば動ける」という感覚が持てる
2ヶ月目 できなかった週の設計を作り直す。合う形を探す 自分に合うやり方の輪郭が見えてくる
3ヶ月目 定着したものを土台に、次のひとつを足す いくつかの仕組みが自動的に回り始める

※変化の速さには個人差があります。上の流れは目安です。

【要確認】
実際のクライアントの変化の傾向に合わせて、この表を調整してください。
嘘のない範囲で、具体的であるほど信頼につながります。

セッションの間のLINEサポート

月額プランには、セッションとセッションの間のLINEサポートが含まれています。
ADHDの特性で難しいのは、正しい方法を知らないことよりも、
行き詰まったときに一人で止まってしまうことだからです。

LINEサポートの実際の使われ方

  • 「決めた作業に手がつかない」と行き詰まったときに、その場で相談する
  • やってみて分かったことを、忘れないうちに一言送る
  • 次のセッションで話したいことを、思いついたときにメモ代わりに送る

【要確認】
返信できる時間帯や頻度のルールがあれば、ここに明記してください
(例:平日の日中に返信、即レスは保証しない、など)。先に伝えておくとトラブルを防げます。

2週間に1回のセッションだけだと、間で詰まったときに次まで止まってしまいます。
止まっている時間を短くすることが、LINEサポートの役割です。

当日の準備と環境

  • 準備は不要です。事前に何かをまとめてくる必要はありません。準備自体が先延ばしの対象になるためです
  • 使うのはZoomです。URLをクリックするだけで入れます。アプリのインストールも不要です
  • カメラはオフで構いません。音声だけで進めている方もいます
  • 場所は自宅で問題ありません。一人になれる場所であれば十分です
  • メモは取らなくて大丈夫です。こちらで記録し、必要なら共有します

【要確認】
セッションの記録を共有しているか、録画はするか、といった運用があれば、実態に合わせて書き換えてください。

無料相談(30分)では何をするのか

いきなり有料セッションではなく、まず30分の無料相談があります。無料相談でやるのは、次の3つです。

無料相談30分でやること

  • いま困っていることを聞く(20分ほど)
  • ADHDコーチングで扱える範囲かどうかを判断してお伝えする
  • 今日から試せることを、ひとつお渡しする

【要確認】
3つ目を実際にやっているかご確認ください。無料相談で必ず一つ持ち帰れると明示できると、申込のハードルが下がります。

ADHDコーチングの範囲外だと判断した場合は、その旨をはっきりお伝えします。
診断や治療が先だと思えば医療機関を、気持ちの整理が先だと思えばカウンセリングを、
費用面で無理があると思えば無料の公的窓口をお勧めします。

無理な勧誘はしません。合わない方に売っても、お互いに時間を失うだけだと考えているためです。

まとめ

  • 60分の流れは、近況 → 困りごとを並べる → ひとつに絞る → 実行できる大きさまで刻む → 次の一手を決める
  • 取り組むのは毎回ひとつだけ。複数を同時に始めないことが、続けるための前提
  • 特別な技法はない。「作業が大きすぎて着手できていない」ことに気づき、削るのが中心
  • 先延ばし・片づけ・人間関係、いずれも起点をひとつ見つけて、そこの手間を減らすという進め方
  • 2回目以降はできなかった週の設計を作り直す。できなかった回こそ価値がある
  • 定着までの目安は月2回で3ヶ月程度
  • 準備は不要。話がまとまっていなくても問題ない

読んだうえで「自分には合わない」と感じられたなら、それで構いません。
合わない方に無理に勧めるつもりはありません。

よくある質問

話がまとまっていなくても大丈夫ですか?

問題ありません。整理することはコーチの役目です。思いついた順に話していただければ、こちらで並べていきます。途中で話が飛んでも、黙ってしまっても構いません。

準備は必要ですか?

不要です。事前に何かをまとめてくることは求めません。準備が必要なサービスは、その準備自体が先延ばしの対象になってしまうためです。そのままお越しください。

できなかった週は、休んだほうがいいですか?

逆です。できなかった週こそお越しください。なぜできなかったかを見て、設計を変えることがADHDコーチングの中心的な作業です。できた報告だけを聞く場ではありません。

何回くらいで変わりますか?

小さな変化は初回から出ることもあります。ただ、生活として定着するには、月2回で3ヶ月程度を見ておくのが現実的です。1回で人生が変わるようなものではありません。

顔を出さないといけませんか?

カメラをオフのままで問題ありません。音声だけで進めている方もいます。話しやすい形で構いません。

中身を読んだうえで、話してみたい方へ

無料相談は30分、料金は一切かかりません。
準備も不要です。そのままお越しください。

診断がなくてもOK/顔出しなしOK/薬は否定しません/無理な勧誘は一切しません


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話してみて合わないと感じたら、そこで終了して構いません。